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非常食は買った期に全額落ちる
防災備蓄品の経費処理 ― 使っていないのに費用にできる、数少ないものです。
備蓄品は買っても使いません。普通なら期末に貯蔵品として資産に残りそうなところですが、
非常用食料品は備蓄した時点で事業供用があったものとして、その時の損金の額に算入して差し支えない
とされています(国税庁 質疑応答事例)。実務上は購入した事業年度に全額を落とせるということです。
ただしこれが効くのは食料品などの消耗品まで。発電機や備蓄庫は資産で、
金額によっては減価償却になります。同じ「防災用品」でも扱いが割れます。
判定表
| 買うもの | 扱い | いつ落ちるか |
|---|---|---|
| 非常用食料品・保存水 | 消耗品費など 備蓄時に事業供用があったものとして その時の損金に算入して差し支えない |
購入した事業年度に全額 |
| 簡易トイレ・毛布 乾電池・救急用品 |
消耗品費など 1個あたりが少額のもの |
購入した事業年度に全額 |
| ヘルメット・防災リュック | 金額により消耗品費または器具備品 | 10万円未満なら全額 1単位あたりで判定 |
| 発電機・蓄電池 備蓄庫・防災倉庫 |
器具備品・機械装置など 資産になる |
金額に応じて 減価償却 |
※ 資産になったものの処理は 10万・20万・40万の判定表と 耐用年数表を参照してください。
どれだけ備えるか(東京都の場合)
東京都帰宅困難者対策条例(平成25年4月施行)は、事業者に対して 従業員全員×3日分の水・食料その他必要な物資の備蓄を努力義務として定めています。 金額の目安が立てやすいので、購買計画の起点にしやすい数字です。
| 従業員数 | 3日分の目安 |
|---|---|
| 10人 | 水 90リットル(1人1日3リットル×3日)/食料 90食 |
| 30人 | 水 270リットル/食料 270食 |
| 50人 | 水 450リットル/食料 450食 |
※ 具体的な備蓄量・品目は自治体によって異なります。事業所の所在地の条例・ガイドラインを確認してください。
ここで間違える
「使っていないから貯蔵品」ではない
期末に未使用の消耗品は、原則として貯蔵品として資産に計上します。 しかし非常用食料品は、備蓄することそのものが目的であるため、国税庁の質疑応答事例では 備蓄時に事業の用に供したものとして、その時の損金の額に算入して差し支えないとされています。 「まだ食べていないから資産」と考えて計上し直す必要はありません。
入れ替えたときの古い分も、もう費用になっている
賞味期限で入れ替えるとき、古いほうは購入した期に既に損金算入済みです。 廃棄しても改めて損金にはなりません(二重計上になります)。 新しく買ったぶんが、その期の損金になります。
発電機や備蓄庫は「防災用品」でも資産
同じ防災の予算で買っても、発電機・蓄電池・防災倉庫は器具備品や機械装置に当たり、 取得価額に応じて減価償却の対象になります。予算をまとめて「防災費」で処理すると、 資産計上すべきものが混ざります。発注リストの段階で、消耗品と資産を分けておいてください。
備蓄は努力義務だが、置いていないことのリスクは税務の外にある
東京都の条例は努力義務で、違反しても罰則はありません。 ただし従業員の安全配慮という別の文脈があるため、税務上の損得だけで判断する話ではありません。 ここでは経費処理の面だけを扱っています。
従業員数から逆算して買う
備蓄量は従業員数と日数から決まるので、必要数の逆算がしやすい費目です。 価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで確認してください。
- 長期保存水(箱買い) 1人1日3リットル×3日が目安。消耗品費で、備蓄した期に全額落ちる
- 非常用食料品(5年保存) 賞味期限の管理があるので、入れ替え時期を購買履歴で追えるようにしておくと楽
- 簡易トイレ・衛生用品 1個あたりが少額の消耗品。人数分×日数で数量が決まる
- ヘルメット・防災用品 1単位あたりの金額で判定。10万円未満なら消耗品費で処理できる
- 発電機・ポータブル電源 これは資産側。金額によって少額特例か減価償却かに分かれる
備蓄は数年ごとに入れ替えが発生します。Amazonビジネス(登録・年会費無料)にすると 購買履歴が一元化され、前回いつ何をいくつ買ったかを追えます。賞味期限の管理と入れ替えの予算取りが そのまま購買履歴から出せるようになります。見積書・請求書払いにも対応しています。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは 支払方法によって扱いが異なるため、経理処理の前に自社の要件で確認してください。
出典
- 非常用食料品の取扱い(国税庁 質疑応答事例) ―「備蓄時に事業の用に供したものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません」
- 帰宅困難者対策ポータルサイト(東京都) ― 東京都帰宅困難者対策条例(平成25年4月施行)。事業者に対する従業員×3日分の備蓄の努力義務。 1人1日3リットル・9食といった具体的な数量は条例本文ではなく、東京都の手引き・ガイドラインによります
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 ― 少額の減価償却資産(10万円未満)。備蓄品のうち資産に当たるものの判定
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の支出について税務上の判断を示すものではありません。 どこまでが消耗品でどこからが資産か、備蓄量をどう決めるかは、状況や自治体によって変わります。 実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。備蓄の要否・数量は所在地の自治体にご確認ください。