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事務机とパソコンには
即時償却の道がない

中小企業経営強化税制が届かない範囲 ― 40万円という同じ数字が、2つの制度で逆向きに使われています。

最初に押さえる

令和8年度改正で、少額特例は 40万円未満、経営強化税制の工具・器具備品は 40万円以上 と、 同じ数字で線が引かれました。ここだけ見ると「40万円で制度が入れ替わる」ように読めます。
入れ替わりません。経営強化税制の対象は生産等設備を構成する資産に限られ、 事務用器具備品・本店・寄宿舎等の建物・乗用自動車・福利厚生施設は対象外です。 事務机もオフィスのパソコンも複合機も、ここに当たります。
つまり事務用の備品は、40万円を超えた時点で通常の減価償却しか残りません

最終更新 2026-09-05 / 根拠:租税特別措置法第42条の12の4・同施行令第27条の12の4・国税庁 No.5434

まず「生産等設備か」を判定する

資産生産等設備か経営強化税制
生産活動・販売活動・役務提供活動の用に
直接供される資産
該当する 金額・類型の要件を満たせば使える
事務用器具備品
事務机、オフィスのパソコン、複合機など
該当しない 使えない
本店・寄宿舎等の建物該当しない使えない
乗用自動車該当しない使えない
福利厚生施設該当しない使えない

取得価額から引く(事務用の器具備品の場合)

取得価額中小企業者等それ以外の法人
20万円未満一括償却資産/少額特例/通常償却一括償却資産/通常償却
20万円以上
40万円未満
少額特例/通常償却通常償却のみ
40万円以上通常償却のみ通常償却のみ

※ 40万円以上でも経営強化税制に逃げられないのが、事務用器具備品の特徴です。 通常償却になったあとの年数は耐用年数表を参照してください。

生産等設備に当たる場合の規模要件

設備の種類A・B・D類型E類型
機械および装置1台または1基 160万円以上1台または1基 160万円以上
工具、器具および備品40万円以上
30万円 → 40万円
40万円以上
30万円 → 40万円
建物・建物附属設備建物附属設備 60万円以上建物およびその附属設備の
取得価額の合計 1,000万円以上
ソフトウエア70万円以上70万円以上
類型内容優遇
A(生産性向上設備)工業会等の証明書。工具は測定工具・検査工具に限られ、器具備品は販売開始からの年数要件がある即時償却 または
税額控除 7%
(特定中小企業者等は 10%
B(収益力強化設備)投資利益率の要件。経済産業大臣の確認書
D(経営資源集約化設備)事業承継等に係る設備。経済産業大臣の確認書
E(経営規模拡大設備)売上高100億円超を目指す計画。C類型(デジタル化設備)は令和7年4月1日に廃止され、これが新設された 建物等は特別償却15%(一定の場合25%)/税額控除1%(同2%)

※ 税額控除には調整前法人税額の20%という上限があり(中小企業投資促進税制と合計)、控除しきれない額は1年間繰り越せます。 娯楽業(映画業を除く)など指定事業以外は対象外で、貸付用資産・コインランドリー業・暗号資産マイニング業も除かれます。

ここで間違える

「40万円以上なら経営強化税制」ではない

40万円以上という規模要件を満たしても、その資産が生産等設備を構成していなければ対象外です。 国税庁は生産等設備を「生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を稼得するために行う活動の用に 直接供される減価償却資産で構成されているもの」と定義し、 本店・寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設は該当しない、と明記しています。 バックオフィスが発注するものの多くは、この除外側に入ります。

買ったあとでも、60日以内なら間に合うことがある

原則は取得前の計画認定ですが、例外があります。 計画を申請する前に設備を取得した場合、申請書の到達日から遡って60日以内に取得したものであり、 かつ取得して事業の用に供した事業年度内に認定を受ければ適用できます。 ただしD類型とE類型は、この例外を使えません。 先に発注してしまっても、A・B類型なら諦める前に確認する価値があります。

A類型の「工具」は測定工具・検査工具に限られる

規模要件の表には「工具、器具および備品 40万円以上」とありますが、 A類型では工具が測定工具および検査工具に限定され、器具備品にも販売開始からの年数要件があります。 一般的な電動工具を買って「40万円以上だから対象」とはなりません。類型ごとの要件を先に見てください。

E類型を使うなら、その計画に載せた資産は少額特例が使えない

経営強化税制のE類型に係る特定経営力向上計画に記載された減価償却資産は、 少額減価償却資産の特例の対象から除かれます。 40万円未満の備品をまとめて落とす前提と、E類型の計画を同時に進めるときは、 どちらに載せるかを先に決めてください。

国税庁のページは、まだ30万円のまま

2026年9月5日時点で、国税庁タックスアンサー No.5434(経営強化税制)も No.5408(少額特例)も、 改正前の30万円で表示されています。金額は財務省の令和8年度税制改正の大綱と、 e-Gov の現行条文で確認してください。この記事の出典欄に並べてあります。

事務用の備品は、40万円未満に収まるかどうかが分かれ目

上のとおり、事務用器具備品には経営強化税制の道がありません。 40万円未満で少額特例を使えるかどうかが、実質的に唯一の分岐になります。 価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで確認してください。

事務用器具備品にあたるもの
生産等設備に当たりうるもの
取得日を記録として残しておく

60日の例外を使うにも、取得日と事業供用日が要ります。Amazonビジネス(登録・年会費無料)にすると 購買履歴が一元化され、見積書・請求書払いも使えます。いつ発注していつ届いたかが残るのが、この制度では効きます。

※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは 支払方法によって扱いが異なるため、経理処理の前に自社の要件で確認してください。

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出典

この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の設備について税務上の判断を示すものではありません。 生産等設備に当たるか、指定事業に当たるか、類型ごとの要件を満たすか、計画認定が間に合うかは、状況によって結論が変わります。 実際の会計処理・税務申告および計画申請は、必ず顧問税理士・認定支援機関にご確認ください。